リーマンショックから1年

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リーマンショックから1年
〜世界の変化を可視化する〜

回復の兆しが見え始めた日本経済 個別企業の頑張りに期待

日本経済は、2009年4〜6月期に実質GDPがようやく前期比プラスに転じ、リーマンショック以前から続いていたマイナス成長から実に5四半期ぶりに回復しました。これで底打ちは確認できたものの、まだ政策頼みの要素は大きく、自律的回復には程遠いのが現状です。今後は、エコ技術や新興国への輸出で復活を目指す製造業や、リーマンショック直後の世界で一躍脚光を浴びた金融業など、個別企業の頑張りが、日本経済回復への大きな鍵となりそうです。

ショックの影響が直撃した株式市場

リーマンショック以来、ここ1年の株価は、いつも以上に米国市場との連動性を強めていたように感じます。ショック直前の2008年9月12日の日経平均は12,214円、その後7,054円の最安値を記録した3月10日までに42%値を下げ、そこから45%戻して1年後の2009年9月14日を迎えました。同時期のNYダウの動きも、3月9日の最安値まで43%の下落、そしてそこから47%の回復と、日経平均とほぼ同一です。
当初は、日本企業、特に日系金融機関が所有するサブプライム関連金融商品の残高が少ないことや、サブプライム問題にはアメリカの住宅市場固有の問題が多いとして、それほど日本経済への影響は無いのではないかと言われる向きもありましたが、結局はアメリカ同様、リーマンショックが直撃したような株価の動きであったと言えます。「ねじれ国会」の中、経済危機にも関わらず政策的後押しが後手後手に回ったことも、株価の低迷の一因となっていたのでしょう。
世界的な景気低迷と政策との睨めっこに翻弄され続けたここ1年の株式市場ですが、ここからの回復は実体経済の動向次第。ここで景気動向を確認します。

ショック前から始まっていた景気減速

2000年代前半からのGDP成長率をグラフで見てみると、リーマンショックとその後の景気変動の激しさをひと目で確認できます。
グラフの通り、日本経済は、ITバブル崩壊後の若干の低迷を経て、特に2005年から2007年前半にかけては、低成長ながら比較的順調な成長を続けていました。それを支えていたのが、好調な輸出、活発な設備投資、そして比較的堅調な消費といった要素です。特に、「失われた10年」とITバブル崩壊後の過剰設備や人員の整理も終わっていた段階で、景気回復を睨んで企業の設備投資意欲は旺盛で、その時期がまさに順調な成長を続けていた時期と重なります。
それらが全てマイナスに転じたのが2008年第2四半期、以来4四半期にわたりマイナス成長が続きました。リーマンショック後のアメリカ経済の低迷が輸出激減という形で直撃したこと、またそれを受けて企業の設備投資の見送りや見直しが相次いだことがその大きな要因です。2009年第2四半期に入ってようやく前期比プラス成長に戻りはしたものの、この回復も輸出頼み。今後に不安を残します。

まだ牽引力乏しい輸出の回復

さて、先述の通り、2009年第2四半期に、とりあえずのGDPプラス成長を後押しした輸出ですが、それが今後も日本の回復を牽引して行けるかと言えば、まだまだ疑問が残ります。
グラフの通り、輸出は過去数年にわたり堅調にプラス成長を続け、日本経済の成長を支えてきました。特に2006年後半から2007年にかけて輸入の伸びを上回った時期は、前のグラフで順調にGDPが成長を続けていた時期とも重なります。
リーマンショックとタイミングを一にして、2008年10月以来マイナスに転じている輸出ですが、今年5月から輸入の減少率こそ上回り始めたものの、このグラフ上ではまだ回復の兆しは見られません。
なお、この間、日本の輸出における中国依存度が益々高まってきています。輸出金額ベースで全体に占める割合を見ると、米国向け輸出が2005年度の22.6%から2008年度17.0%へ下落している一方で、中国向け輸出は同時期に13.7%から16.5%へと、米国向けと肩を並べる水準まで拡大しています。アメリカの経済回復が日本の輸出回復のポイントであることは言うまでもありませんが、同時に中国向け輸出を今後いかに拡大できるか、注目して見る必要がありそうです。

引き続き低迷する個人消費。外需、内需共に政策頼み

日本の輸出の2割弱を占めるのが自動車ですが、その生産台数は今年5月から回復基調を辿っています。実数ベースでは、4月の48.5万台から7月の74.2万台への回復、この25.7万台の伸びのうち約半分(13.4万台)が輸出で説明可能です。自助努力による在庫調整に加えて、米国と日本でのエコカー減税等政策的後押しが、ここでは大きな効果を発揮しているようです。ただ、米国でもエコカー減税終了後は自動車販売が低迷するなど、今後この持続性にはまだ疑問が残ります。
一方、住宅着工は、底は固めつつあるように見えるものの、回復の兆しは見えず、政策面での刺激策の有無の影響が大きく出ているように思えます。ここでは政策の後押しどころか、2007年夏の建築基準法改正が住宅着工の急減に繋がるなど、政策がマイナス方向に働いた記憶も新しく、昨今ではその時の水準に逆戻りしているのが気になるところです。
政策的な後押しがないままでは、個人消費の低迷はしばらく続きそうです。

攻めに転じた日系金融機関、本当の勝負は景気回復後?!

最後に、個別企業、特に大手金融機関について、その業績推移を見てみます。リーマンショック直後の数ヶ月は、久々に日本の金融機関が世界的にスポットライトを浴びた時期でもありました。
野村HD(グラフ【1】)が破綻したリーマンの欧州、アジア・太平洋部門を買収、さらに三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG:グラフ右下の【2】をクリック!)がモルガン・スタンレーに巨額の出資を行うなど、マネーの供給元として注目されたのです。一方の業績動向を見ると、当初はサブプライム関連商品の残高の少なさ等から比較的影響は軽微であろうと言われていましたが、ふたを開けてみると欧米の金融機関同様に業績は低迷し、2009年度第1四半期にようやく回復の気配を見せ始めた程度です。グローバルな市場への展開を睨んで、バブル期以来の大胆な行動に出た両社ですが、そのリスクに見合ったリターンを得られるかどうかは、まさにこれからが勝負と言えそうです。
国内でも同じようにリスクを取って、景気回復に資するビジネス拡大を期待すると共に、リーマンショック後の新たな金融秩序を、グローバルなレベルで主導する気概を持って、両社には頑張ってもらいたいものです。

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